作品紹介
1964年、パリ。個展が始まったばかりのジャコメッティは、アメリカ人作家で美術評論家のロードに、「肖像画のモデルになってほしい」と声を掛けた。
憧れの作家直々の指名に名誉と好奇心を感じたロードは、すぐに終わるとの言葉を信じて巨匠のアトリエに向かった。ところが、愛人カロリーヌの突撃訪問やジャコメッティ自身のスランプもあり、セッションを重ねても肖像画は進まない。いつになったら肖像画は完成するのか。本能と信念もままに生きるジャコメッティのすべてを記しながら、ロードは不安に駆られていた。