作品紹介
「アラヤ、何を求める」
「――――真の叡智を」
「アラヤ、何処に求める」
「――――ただ、己が内にのみ」
臙条巴はすべてのことから逃げていた。
自分を追いつめる、すべてのものと決別して。
けれど、逃げ切れず追いつめられたそのときに、ひとりの少女と巡り逢う。
彼女の名前は両儀式。
着物に赤い革ジャンをまとい、夜な夜な町を徘徊する、
これまで一度も会ったことのない不思議な存在で、誰よりも美しかった―――